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寝台特急"サンライズエクスプレス"乗車行 Part4 [鉄道(路線)]

 別に引っ張るワケではないが、今回のPart4は出雲市編である


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JR西日本 出雲市駅
出雲市駅は出雲大社を模した造りで2面4線の高架駅である。


 出雲市に到着したところでちょうど昼食時である。やはり出雲市
と言えば蕎麦なので、事前に調べておいた蕎麦屋へと向かう。

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献上そば"羽根屋"本店

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三色割子そば
撮影:CanonPowerShotS90
出雲の蕎麦は殻までも一緒に挽きこんでいるため、かなり黒い
上に香りも強く、蕎麦自体にも下手なラーメン顔負けの歯ごたえ
がある。蕎麦猪口を使わずに、割子の蕎麦に直接そば汁をかけ
て食すのが出雲そばの流儀。ちなみに830円。


 由緒正しき献上そばを食したところで、早速出雲市駅へと戻る。
今年のGWに"RailWays"という中井貴一主演の映画で一躍全国
区となった一畑(いちばた)電車へ乗車するためだ。

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電鉄出雲市駅
一畑電車の電鉄出雲市駅はJRの出雲市駅と併設する形で同じく
高架駅となっている。

 出雲大社前までの切符を購入しホームへ上がると、既に出雲大社
行きの電車が待っていた。元京王5000系のワンマン化改造された
2100系2輌編成、3扉車である。

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一畑電車2112形
ホームは1面2線構造。

 ワンマン化に際してバックミラーや運転席直後に運賃箱が設置
されており、いかにも地方民鉄といった風情である。各駅も無人駅
が多く、運転士がドア扱い時に安全を確認するミラーがホーム端に
設置されている。
 この列車は出雲大社前までの直通で、途中の川跡で進行方向が
変わる。武志を出ると出雲大社前を出た松江行きの電車が遥か前方
を左から横切って行くのが見えた。電鉄出雲市から川跡まで(Youtube)
はおよそ9分で到着。それと同時に松江方面からの電車も隣のホーム
に到着した。松江方面への連絡は乗客の乗り換えが完全に終わった
のを確認し電車を発車させるという、何とも長閑なもの。

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隣の2番線に停車中はRailWaysラッピングされた2100系。こちらは
2扉車である。

 ここ川跡から電車は進行方向を変え、出雲大社前まではあと13分
である。川跡を出ると、編成前方(出雲大社方)に女性アテンダントが
乗り込み、車内放送で沿線の観光案内を始めた。女性の横にはまだ
あどけなさが残る若い制服の男性が1人。おそらく一畑の新人なので
あろう、今日は先輩と現場でのOJTといったところか。
 一畑電鉄は1912(明治45)年に一畑軽便鉄道として創業した。現在
は鉄道事業だけでなく、バス、デパート、観光ホテル、建設不動産業
等を束ねる持ち株会社から成る、島根を代表する企業体である。

2100shanai.JPG
一畑電車2100系車内
平日午後の車内はこのくらいの乗車率。見にくいが前方料金箱の
ところに女性乗務員の姿が見える。そして2100系電車は出雲大社
前に到着。

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出雲大社前

 現在、ここ一畑電車の出雲大社駅構内には、おそらく日本の
民鉄で最も一般的な知名度が高いと思われる電車が保存されて
いる。今回ここを訪れたのは、その電車との対面も1つの目的で
あった。
 そしてその電車は、駅構内の引込み線に、老いてなお矍鑠と
した雰囲気で佇んでいた・・・。

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一畑電鉄デハニ52

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運転台

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車内

 このデハニ52、戦前に製造され、2009年春まで現役であったの
だから驚きだ。私自身は幼い頃に南武線で、鉄道を追いかけていた
少年時代は鶴見線の大川支線で旧型国電に乗車した経験はあるが、
この車輌は一畑電鉄のオリジナルであり、最後まで自動扉を装備
しないなど、あらゆる点でその存在価値が高い工業文化遺産である
と言える。その長い現役生活の中では内装をお座敷化したりカラオケ
用の電源を装備したりと色々な改造は施されてきたが、それでもなお
製造時のオリジナル形態を色濃く残す。
 普段は雲州平田駅構内に留置されているが、RailWays公開に
伴い、今年12月26日までは出雲大社前駅の構内で公開されており、
今後も定期的なイベントでの利用が前向きに検討されているのは
嬉しい限りだ。

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一畑電車"出雲大社前"駅舎

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駅構内

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駅舎内
出雲大社前駅は小さいながら西洋風の洒落た造りの駅舎で、
平成21年には経済産業省より近代化産業遺産に認定された。

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駅舎内ステンドグラス
露出を絞って駅舎内のphotoにある、左上のステンドグラスを
撮影してみた。なかなか幻想的に撮れたと思うのだが、如何な
ものでろうか?


 出雲大社はこの駅舎を出て右へ徒歩数分の距離であるが、私は
迷う事なく、まずは左へと歩を進めた。この地を訪れたもう1つの目的
を果たすためである。
 10分ほど歩いたであろうか、その看板は唐突に私の視界に入って
きた。

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撮影:CanonPowerShotS90

 そして看板に従いその角を曲がると、目の前に旧国鉄の"大社駅"
が姿を表した。

taisyaST.JPG
旧大社駅

 この出雲大社を模した駅舎は出雲大社のお膝元として、1990年まで
営業していた2代目の駅舎である。設計は中央線の高尾東口と同じ鉄道
省建築課の技師であった曽田甚蔵によるもので、竣工は大正13年と非常
に歴史ある建造物である。出雲大社への玄関口として、かつては東京から
の直通列車や団体臨時列車、多くの急行列車と乗客を向かえ入れていた。
特に東京発の急行列車"出雲"は1951年からの10年間、この大社を終着駅
としていた程である。
 この木造平屋441平米を誇る大社駅、2004年に国の重要文化財に指定
されている。

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駅舎内
歴史を感じさせる広い駅舎内。右奥は貴賓室になっている。幸い
ガラスが割られる等といった事もなく、素晴らしい保存状態だ。

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最晩年の発車案内
全てが気動車による出雲市行きで、何とも寂しい本数である。

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臨時改札口
大社駅の最盛期が偲ばれる石造りの臨時改札口

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構内に静態保存されている"D51 774"

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状態は見ての通りであるが、厚塗りされたペンキが実に痛々しい。


taisyaeki.JPG
かつてはこの左側方向にも長い引込み線が存在したそうだ。
この駅に到着する列車が、如何に沢山の乗客を乗せ、そして
それに相応しい長編成であったかが分かる。

 人が少なかったせいか、構内に静態保存されているD51共々、
何か寂しい印象である。かつて出雲大社への参拝が平均的な
日本人にとって1大レジャーであった時代、この駅舎はその堂々
たる貫禄で多くの観光客を迎え入れていた。今はその使命を
果たし終え、静かにこの山陰の地で当時の賑わいを伝えている。
 今、こうして大社駅のホームに立つと、大勢の観光客が流れる
臨時改札や、忙しく旅客の質問に答える駅員の姿が目に浮かぶが、
それも今や昔日の出来事なのだ・・・。

taisyaeki_2.JPG
彼方に出雲大社の大鳥居が見える。

"兵どもが夢の跡"といった風情である・・・。



次回"Part5"



■寝台特急"サンライズエクスプレス"乗車行 Part1
■寝台特急"サンライズエクスプレス"乗車行 Part2
■寝台特急"サンライズエクスプレス"乗車行 Part3
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コメント 3

ワイドビュー

こんばんはー  レポート拝見させてもらってます。

何を隠そう私もこの辺は回ったんですよー、随分前ですけどねー。まだ急行だいせんが客車だったころに名古屋から近鉄アーバンで大阪、大阪からだいせんのB寝台でしたー。懐かしいですねー、このデハニは乗りましたよーすごいノスタルジックな感じでしたねー。今思えば乗っといて良かったですよ。

帰りは松江からスーパーやくものグリーン車でしたねー岡山から新幹線だったんで割引で乗った記憶あります。岡山からは初500系だったんですよ。
何か懐かしくて長くなっちゃいました(笑 
by ワイドビュー (2010-11-10 18:05) 

raist

 ワイドビューさん 毎度です。

 "だいせん"に"デハニ"とは羨ましい限りです(笑)。さらにスーパー
のグリーン車に500系とは、こもれかなり"お腹一杯"な乗りですね。
 ところで381系振り子の洗礼は大丈夫でしたか???。


by raist (2010-11-10 21:29) 

ワイドビュー

>ところで381系振り子の洗礼は大丈夫でしたか???。
大丈夫でしたよ(笑 
381系はご存知だと思いますが名古屋では「しなの」がありましたから、自然振り子は平気ですよー。でも結構揺れたねー(笑
伯備線も中央線もカーブ多いからねー。
by ワイドビュー (2010-11-11 08:29) 

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