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恐れ多くも勿体無くも [音楽(ギター)]

 私ごときが弾いて良い1本ではないと思っていたので、
もっぱら観賞用に近い扱いであった。時々ケースから
出し、スタンドに立てかけてはニヤニヤと眺めていた


peteles.JPG
Gibson LesPaulDX PeteTownshend #3



 TheWhoの全盛期、70年代中ごろにPeteが愛器としていた
LesPaulDeluxe。ミドルにDiMarzioのハムバッカーをマウントし、
さらにコントロールノブの上にあるスイッチでこのハムをタップさせ、
ブリッジ側のスイッチでフェイズアウトさせる事が出来るという、
なんとも個性の強いシステムを搭載しているのである。4つの
ノブはそれぞれのボリュームとマスタートーンが1つとなっている。
 そしてボディに施されたナンバリングが、Peteモデルである
事のアイデンティティを強烈に主張している。当時Peteの愛器
は#1~#9まで存在したのだが、ご存知のように当時のPeteは
Stageでギターを頻繁に破壊したので、修復不可能となったNo.
は何度か代替わりしている(特に#4)。

 このシグネチャーモデル、とても高価なギターなのだが、
私はちょっと信じがたい現金特価で新品を入手した。その後
色々なショップでかなりの値引きがされ始めたのだが、それ
でも直ぐに店頭から消える事は無かったので、その個性的な
システム故に敬遠する人が多かったのだろう。また私個人と
しても、TheWhoの日本における人気と知名度の低さを、改め
て思い知らされた感じがした。
 確かに扱い難いシステムではあるが、純粋にGibsonの
Custom製品である事を考えれば、値引き後の価格はかなり
お得であったのは事実だと思う。


petehead.JPG
ヘッド裏には"Pete Townshend"のシグネチャーが入る



 このPeteTownshendシグネチャーのレスポールDXであるが、
#1(ワインレッド)、#3(ゴールド)、#6(チェリーサンバースト)の3本、
それぞれ75本がCustomShopによる限定生産であった。ヘッド裏
のシリアルNo.は#1からの通しNo.になっているので、#3の最若番
はNo.076になる(と思うが、それはNo.000が存在しなければの話し
である)。




 さて、このLesPaulDX PeteTownshend #3。まずミニハム
の音、これがなかなかに枯れたトーンで、中低音を絞ると
テレキャスの様な音を奏でる。元々ミニハムはパワーの無い
PUであり、普通のハムに比べ全体にレンジを削られたような
音色なのだが、それでも明らかにシングルよりは芯のある
ハムの音を奏でてくれる。ボリュームを絞るとシングル的な
音に変化するのだが、先述のように元来パワーが無いPU
であるため、ボリュームでクリーンと歪みをコントロールしよう
とすると、明らかに途中からギターのキャラクターが変わって
しまう。勿論それを理解した上で使いこなせば、それだけ変化
に富んだトーンでのPlayが可能であるとも言える。

 そこでこのPete#3、ミドルのハムの使い方がポイントに
なってくる。このミドル、非常にパワーがあり、ボリューム
をフルにするとミニハムの存在が完全に消えてしまうので、
このDiMarzioをフェイズさせたりボリュームをコントロール
する事で、かなり多彩なトーンを出す事が出来るのだ。元々
Peteはフィードバックを使いたいがため、ミドルにパワーの
あるハムをマウントさせたと聞いた事がある。確かに当時
の彼のPlayを観ると、歪みやトーンは基本的にアンプの
コントロールで制御し、ソロ時はFUZZ系のペダルのみで
ある事が多いのが分かる。つまり"太い音"でバッキング
する事を求めていないのであり、そもそもそれを求めるなら
ミニハムを搭載したDXなど、使うワケも無いと言える。
 Peteのギター遍歴を見ると、やはり彼自身はシングル
の音の方が好みであるように思う。この70年代中期という
時代は、ハードロックの表現が飛躍的に進歩した時代でも
あるため、そのニーズに合わせる(彼自身もアンサンブル
の中でもう少し太い音を求めていたのかもしれない)ため、
ミニハムを搭載したLesPaulDXを使ったと言えるだろう。
事実、このLesPaulDX、その見た目も非常に個性的である
せいで、Pete=LesPaulDXのイメージが強くなってしまって
いるが、それ以前に同じくGibsonのSG、それもP90を搭載
したモデルを愛用していた事実も考え合わせると(ファンに
とってはSGのイメージの方が強いのだが)、過激な音は欲しい
が"ボリュームのある太い音"はあまり好みではないのではな
いだろうか。
 この後、70年代後期から80年代初頭にかけ、ハムを2基
搭載したSCHECTERのテレキャスを使っていた時代がある
のだが、この後同じタイプのギターを使う事は無いので、この
SCHECTERテレは彼のギター遍歴において、少し特殊な
位置付けであると言えるかもしれない。最も彼自身の耳の
具合による部分もあったのかもしれないが・・・。




 このPete#3、本格的に使い始めたのは最近なので、まだまだ
色々と試してみる事はあるのだが、この個性を最大限引き出す
事ができれば、かなり色々なジャンルにオールマイティで使える
のではないかと考えている。

 やはり楽器は音を出してあげてこそである。これからはもっと
普通にこのLesPaulを弾いてやろうと思っている。


タグ:音楽 ギター
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