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立体造形 [アキバ系]

 実在しない2次元(平面上)のキャラクター3次元化する、立体化
するというのは、想像以上に困難な作業だ。



ハルヒ.JPG

 これはマックスファクトリーから2007年の2月に発売され、瞬く間に
売り切れとなった"1/8涼宮ハルヒ"である。数回の再生産がされた
程の人気商品で、私も入手出来たのはその年の暮れ頃だった
ように記憶している。とにかく、このフィギアは間違いなく"傑作"で
ある事は間違いない。

 この涼宮ハルヒというキャラクターは、"涼宮ハルヒの憂鬱"という、
小説が原作の作品に登場するメインヒロインだ。彼女は傍若
無人だが憎めない、非常に快活な女の子なのだが、このフィギア
はそんなハルヒのキャラクターをこの上なく上手に表現している。

 小説が原作なので、涼宮ハルヒのデータは、小説内の挿絵
のみである。小説の人気から深夜アニメも製作されたが、それ
でも3次元化する上でのデーターは全て2次元情報である。



 人間は2つの目で3次元の存在を認識する。これは片方の目
だけでは捉えきれない、非常に多くの情報を脳で処理する事に
なる。
 試しに目の前にある対象物を見ながら、両目を片方ずつ
"パチパチ"とやってみて欲しい。見える部分と見えない部分の
差がかなりある事が解ると思うが、同じ事を紙に描かれた対象
物に対して試してみると、果たしてどうだろうか。


 さて、そこでこのフィギアであるが、例えばウエストからヒップ、
そして足の付け根までのラインを見て欲しい。実際ににこの
様な骨格はあり得ないし、そもそも上半身と下半身のバランス
も現実の人間としては考えられない。その他に髪の毛であるが、
ここまでボリュームのある頭髪など、3次元世界ではオモチャの
カツラだとしても無理がある。実際、この頭髪部分は顔と並び、
フィギアの出来を左右する重要な部位であるのだが、2次元的
なエッセンスをアピールしつつ、それを立体とするにあたり、非常
に造形が困難な部分でもある。

 2つの目で認識する立体造形物として、2次元から3次元化
する時に、どうしても矛盾が出る部位がある。それを如何に破綻
なくデフォルメし、立体として造形するか。そしてその矛盾を1つ
ずつ無理が出ないよう、的確にデフォルメしながら解決し、さらに
そのデフォルメ部分を、全体像を形作る1つ1つのファクターである
と捉えた時、先に述べた頭髪部分を含め、完成体として、如何に
バランスをとるべきなのか。この問題の解決には、作り手の尋常
成らざる観察眼と形状把握能力、そして想像力と造形対象
であるキャラクターへの最大公約数的な理解が必要不可欠と
なってくる。勿論、作家と呼ばれるレベルの造形師になれば、その人
独自のキャラクター像の解釈も認められ、それが受け入れられる
事もあるが、そのレベルにまで達するのは並大抵の事ではない。
 


 立体造形とは、非常に高い技術とイマジネーションが要求される、
かくも奥深き世界なのだ。このような商品であっても、たかが"アキバ
なヲタフィギア"で片づけられるような物では決してないのである。
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